Rab / Mythic Ultra System

より軽く、そして暖かく

全く新しく画期的な方法で、シュラフの保温性を保ちつつ、極限まで軽量化する方法を生み出したイギリスのブランドRabの「Mythic Ultra」シリーズは、1グラム単位の軽量化が必要となる、トレイルランナーや、ハイエンドアルピニストには、ゲームチェンジャーとなり得る先駆的なプロダクトです。

日常生活を取り戻し、自然との調和の時間がより必要に感じます。空いた時間にさっと荷物を詰め手軽にキャンプを楽しみたいところ。新たなオプションも加わり、厳冬期のミニマルなオートキャンプとして欠かせない道具になりました。また、緊急時や災害時の備えとしても信頼のおけるプロダクトのため、あらためてまとめてみたいと思います。

過酷な宇宙環境のスペックを

災害や遭難時に使用される、メタリックのフィルム状のブランケットは目にしたことがある方も多いのでは。エマージェンシーブランケット、オールウェザーブランケット、スペースブランケットなどと言われるもので、熱放射、水の蒸発、対流などによる人体の熱損失を低減するためのシートです。軽量でコンパクトなため災害用として備蓄しやすく、また太陽の光を反射することで、遭難信号になる利点もあり普及しています。

この薄く、軽く、保温効果に優れた技術は、1964年にNASAがアポロ計画において開発したもの。宇宙空間では太陽の当たる部分は超高温になり、当たらない部分は超低温になる。強烈な温度変化による内部の電子機器の不具合を防ぎ、安定的に作動させるためにこの技術が用いられ、金属製の反射材を極薄のプラスチックシートを何層にも重ねられています。この究極の環境下で機能するために開発された技術が、民間に応用され、スペースブランケットなどとして、緊急時や災害時などで私たちを守ってくれています。


NASA on the Commons 



Rabの「Mythic Ultra」シリーズの内側には、基本的にはこの原理と同じ、TILT(Thermo Ionic Lining Technology)と呼ばれる輻射熱を利用した技術が世界で初めて寝袋そのものに応用されています。

ブランケットと違うのは、フィルム状の金属を重ねるのではなく、繊維自体をチタンコーティングすることで、生地の通気性を損なうことなく人体の放射熱をバッグ内に反射させることです。そして、目標となる温度帯に必要な保温性を得るために、必要なダウン量を減らすことができるという画期的な仕組み。表地はしなやかな7デニールの超軽量リップストップ素材で、実物を見てみると(Mythic Ultra 360)-8°Cリミットの冬期用とは思えない606gという圧倒的な軽さを実現しています。これは一般常識からかけ離れた、確保する温度帯と、寝袋の”重量感”の比率(Warmth-to-Weight Ratio)です。

研ぎ澄まされたプロダクト

Rabは、数値やスペックだけでなく、現場でのテストを重んじ、環境への姿勢も突出しています。世界初の熱反射性ライニングテクノロジーだけでなく、ダウンは900+フィルパワーのNIKWAX社と協同開発したフッ素フリーの撥水ダウンを、コールドスポットのない台形ボックス構造で封入。サステナビリティーの面でも、RDS(Responsible Down Standard)認証のトレーサブルなダウンを使用するなど徹底しています。

実際にさまざまな環境でテストをしてきましたが、雪中キャンプでもこのコンパクトさからは想像できない保温力を発揮。またチタンコーティングと聞くと、肌触りの悪い金属的な質感をどこかイメージしてしまいますが、実際にはしなやかなでさらりとした感触。直接肌に触れても全く嫌なところはありません。見かけ倒しではない、”使える道具”を作るRabの姿勢を感じます。

オプションでシステム化

Rob / Mythic G Down Jacket

新たに開発されたダウンジャケットは、Mythic Ultla 180/360 (800+フィルパワー)以上の暖かさをを持つ、超軽量なハイエンドダウンジャケットです。277gの軽さに1000+フィルパワーの暖かさを実現し、パックサイズも20 x 14cmと非常にコンパクト。TILT の輻射熱を最大限に発揮します。厳冬期のアウターとして、そして就寝時はシュラフと一緒に使用することが可能なため、とても重宝しています。




Rab / Hooded VB Liner

非常に薄く強度のあるシルナイロンを採用した、シュラフ用のライナーです。実はカタログにも掲載されず、世界でも限られた店舗しか展開できないニッチなプロダクトです。厳冬期にシュラフ内の結露を防止するためのライナーですが、想像以上の保温性です。暖かい季節は1枚でシュラフとしても活用しています。285gの軽さに、パックサイズも8 x 18cmのため、今では必ず持ち出す必需品です。



Wanderout / Insulation Sheet 00
  
同じく過酷な宇宙環境のスペックとして、NASA が開発した「3D AERO LAYER」を使用したブランケットは秀逸。宇宙服の断熱材としてかつて使用していたエアロゲルを、3Dプリンターによって繊維に固定した断熱材を使用し、250gの薄さからは想像できないほどの断熱性を発揮します。エアロゲルは、地球上で最も軽量かつ低い熱伝導率を併せ持ち、構成する物質の90%以上が空気で構成されているため、非常に軽量で高低温の遮断を実現しています。表地は軽量化とパッキング性を重視した高強力軽量20Dナイロンを使用し、とても柔らかく繊細な手触りです。オールシーズン、ブランケットやシートとして、また、首に巻いたりシュラフの中に一緒にセットしたり、汎用性がとても高いインシュレーションシートです。



Rab / Down Hut Slipper

700フィルパワーの十分な暖かさが、疲れた身体を足元から癒します。伸縮性のある履き口は冷気をシャットアウトし、起毛フリースの裏地と、クッション性のあるインソールが究極の快適さを実現。表地は撥水性のある30DのPertex® Quantum、ソールは柔軟かつグリップ力のあるナイロンを使用し、キャンプサイトをそのまま歩くタフさを合わせ持ちます。198gと軽量で携帯制に優れ、冬場のキャンプはもちろん、旅の車中、家や職場でも、さまざまな用途で使えるリラックスシューズです。


 

などなど、とにかく技術的にもプロダクトとしても素晴らしいものですが、もし厳冬期のオートキャンプ用に、極寒環境下でただただ暖かく寝られるシュラフを探している人には、重量アップと大きなボリュームと引き換えに、よりリーズナブルな選択肢もたくさんあります。

しかし、ちまたに溢れる赤や黄色の原色系シュラフや、もはや珍しくもない”流行の”サンドベージュやオリーブドラブ色に見慣れた目には、このソリッドなブラックとメタリックシルバーのプロダクトは、”遊び”や”ゆるさ”を許容しない、研ぎ澄まされた孤高の存在として映るのでは。どこかアウトドアギアの領域を越えた雰囲気すらある、この唯一無二のプロダクトに触れてみたい衝動に駆られてしまいます。

もしかするとそれは、この漆黒の薄い皮膜の奥に、宇宙という究極のアウトドア環境へと挑む、”人類の未知への探究心そのもの” が封じ込められているから、なのかもしれません。


Rab / Mythic Ultra 180
重量: 400g
パックサイズ: 32 x 16cm
対応温度: Rab Sleep Limit 0°C (32°F)

Rab / Mythic Ultra 360
重量: 606g

パックサイズ: 36 x 18cm
対応温度: Rab Sleep Limit -8°C (20°F)

Rab / Mythic G Down Jacket
重量: 277g
パックサイズ: 20 x 14cm

Rab / Hooded VB Liner
重量: 285g
パックサイズ: 18 x 8cm

Wanderout / Insulation Sheet 00
重量: 250g
パックサイズ: 25 x 11cm

Rab / Down Hut Slipper
重量: 198g

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